同じ職場で働く同僚の給与がどれぐらいか、気になったことはありませんか?同じ職場で働いても、同僚と給与が同じとは限りません。また、正社員なのか、派遣社員や契約社員なのかなど、雇用形態や契約内容によっても給与は変わってきます。仕事仲間がいくらもらっているのか気になっても、気軽に聞けるものではありません。自分自身の給与も、業界や職種でという大きな括りでみたときの給与相場が、どれぐらいかを把握していなければ、高いか低いかも判断できません。
今回は、派遣社員や契約社員の給与について、正社員と比較しつつ、最近の動向や業種・職種ごとの違いについて解説します。それぞれの雇用形態ごとに、給与だけでは測れないメリットも挙げています。ぜひ、自分にとってベターな働き方を選ぶ際の参考にしてください。
まずは正社員、派遣社員、契約社員それぞれの基本的な特徴を把握しておきましょう。
給与相場が高く、昇進・昇給がある「正社員」
正社員は「直接雇用の正規雇用労働者」で働く、期間が決まっていない無期雇用です。年次有給休暇や産休・育休、社会保険、福利厚生、資格手当など、契約社員や派遣社員より充実した福利厚生制度がある場合があります。業種や職種、会社にもよりますが、仕事内容に制限はなく、責任のある仕事を担ったり残業をこなしたりすることも多く、転勤や異動の可能性もあります。
正社員の給与は、基本給にプラスして各種手当が支給されることもあり、実績や評価に応じて昇進・昇給があるのが一般的です。業績によって賞与が支給される場合もありますが、年棒制の場合は年収に含まれます。退職金制度がある企業も多く、最も安定的に収入を得られる雇用形態です。
雇用期間が決まっており、賞与や退職金がない「契約社員」
契約社員も正社員と同様に直接雇用ですが、原則1回の契約で最長3年の有期雇用です。6ヵ月~1年ごとに契約更新をする企業が多く、転勤はないものの、雇用期間中の昇進・昇給がない企業がほとんどです。
ただし、福利厚生や休暇などは、一定の条件を満たしていれば正社員とほぼ同様の待遇です。契約社員の場合、給与体系は月収や年棒制、時給制などさまざま。賞与や退職金がない会社が多く、支給される場合でも正社員に比べて少ないのが一般的です。
正社員との最大の違いは、管理職など責任のある立場をまかされるケースがあまりないことと、キャリアアップ関連の制度の活用が限定的になることです。雇用期間が決まっているので、長期的なキャリア形成は難しい雇用形態といえるでしょう。
派遣会社と雇用契約を結ぶ「派遣社員」
派遣社員は、派遣元である派遣会社と雇用契約を結び、派遣される企業で働く「非正規雇用労働者」です。契約社員と同様に期間の定めがある有期雇用で、雇用期間は最長3年ですが、更新の有無は雇用契約の内容により変わります。休暇や福利厚生などの各種制度は、契約している派遣会社の規定が適用されます。
就業前に就業時間や業務内容などを明確にし、契約書を交わしてから派遣先で仕事をスタートします。昇進・昇給、賞与などはないものの、派遣会社によっては資格取得やスキルアップのためのサポートが充実している会社もあります。
契約社員同様に、給与形態はさまざまですが、あらかじめ契約で決められた時給で計算される時給制が多く、雇用主である派遣会社から支給されます。時給制の場合は、実際に働いた時間・日数により毎月の給料は変動します。賞与はなく、残業が可能な契約の場合は、残業した分が時給計算で支給されます。
給与相場と動向
ここからは契約社員と派遣社員の、給与相場と最近の動向について、実際のデータを元に見ていきましょう。国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、正社員の平均年収は523万円(前年比1.5%増)。これに対して、契約社員や派遣社員の給与はどうなっているのでしょうか。
・契約社員の給与相場と動向
そもそも契約社員というのは法的に明確な定義が決まっていないため、公的な統計データは、ほとんどありません。令和元年の東京都産業労働局のデータによると、都内事業所の契約社員の平均年収は、およそ301万円。「200万円以上300万円未満」が38.9%と最多です。令和元年における、都内の正社員の平均年収は440万円で、かなり差があることがわかります。また、東京都内の企業の15.6%では、契約社員にも退職金制度が導入されています。
時給で見てみると、2023年の契約社員の全国平均時給は1,200円程度です。実際の求人サイトで見た場合、都市部では時給1,600円以上の求人も見られますが、地方は時給1,000円未満の求人も少なくありません。
それぞれ1日8時間、月20日勤務で計算すると、時給1,600円の場合、1,600円×8時間×20日×12カ月=307万円。時給1,200円の場合は、1,200円×8時間×20日×12カ月=230万円で、時給1,000円なら1,000円×8時間×20日×12カ月=192万円です。
同じ契約社員という雇用形態でも、地域によって差が大きいようです。そのため契約社員の給与制度や賞与の有無などは、働きたい地域での情報を、事前に求人票でしっかりと確認しておきましょう。
・派遣社員の給与相場と動向
厚生労働省の「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」によると、令和4年に派遣として働いていた人は約215万人。前年度に比べて、2.6%ほど増加しています。実際の就業の有無に関わらず、派遣会社に登録した人は796.9万人で、前年の719.9万人と比べて、およそ10%増加しています。
そのうち、派遣会社に「無期雇用」で雇用されて働いた人は82.9万人で、対前年度比では6.8%の増加。「有期雇用」で働いた人は、前年とほぼ変わらない131.8万人です。派遣先の件数は、全国で約80万件となっており、前年から6.1%増加。コロナ禍以降、派遣の求人数が伸びており、派遣社員として働いている人も増えています。
全国の派遣社員の平均時給は、1,996円。1日8時間労働の換算で日給を計算すると15,968円となり、前年より1.7%増えています。1日8時間、月20日働いたとすると、年収は1,996円×8×20×12カ月=約383万円。正社員の平均給与532万円と比べると低いですが、派遣社員の年収自体は上がっており、契約社員に比べると高い傾向があります。
ただし、派遣会社の時給は業種や職種、地域などによっても差があります。職種別では、一般事務は1,457円、営業・販売事務は1,569円、IT関連は2,595円、薬剤師は2,928円。いずれも前年に比べて上がっています。IT関連の仕事では100円以上UPしている職種もあり、資格や専門スキルが必要な職種は、全体的に時給の伸び率が高くなっています。
派遣社員も契約社員と同様に、都市部では一般的に時給が高めで、地方は低め。ただしITやWeb関連、薬剤師など専門スキルが必要な仕事は、地方でも人材不足の企業が多く、大都市圏以外でも高時給の求人が数多くあります。
高時給の求人は、競争率が高くなりがちな大都市圏より、人材が少なく競争率の低い地方のほうが仕事を得やすい業界もあるようです。派遣社員として働きたい人は、登録している派遣会社に、最新の動向や好待遇の求人の仕事内容・勤務条件を確認し、チャレンジしてみるのも良いのではないでしょうか。
雇用形態の違いによるメリット・デメリット
ここまで、雇用形態によって違う給与体系や動向を見てきました。最近では、大手企業の正社員は大幅な賃上げが話題になりましたが、中小企業の給与はさほど上がっていないようです。非正規雇用の月給や時給も、大きく伸びているとはいえませんが、今後は正社員と同様に上がっていく可能性もあります。
とはいえ給与面だけを見れば、正社員が高いというメリットがあり、派遣社員・契約社員はメリットがないように見えます。ただし雇用形態により、給与だけでは測れないメリットがあります。それぞれのメリット・デメリットを比べつつ、契約社員や派遣社員だからこそのメリットに注目してみましょう。
・年収がもっとも高いが責任も伴う「正社員」
これまで紹介してきた給与関連のデータからもわかるように、年収がもっとも高く、安定している正社員。基本的には定年まで働けるため、同じ職場で長く働くことができる可能性が高まります。マネジメントスキルがある人や、専門性が高い技術・知識がある人は高年収の求人も多く、キャリアアップをめざせるのが大きな魅力です。
長期的・安定的に働ける正社員ですが、最大のデメリットは転勤や部署異動、希望とは異なる職種への配置変更でしょうか。「残業が多い仕事は避けたい」「責任が重いポジションで働きたくない」「ワークライフバランスを重視したい」という人は、転勤や異動がない契約社員や、希望の業務内容を選べる派遣社員をめざしたほうがいいでしょう。
・契約社員より年収は高めで、希望の業務に特化しやすい「派遣社員」
派遣社員は、あらかじめ業務内容を明確にして派遣契約を交わすため、派遣先企業が契約内容にない仕事を依頼するのは違法となります。契約上の業務をきちんとこなせればOKで、正社員にありがちな長時間の会議や業務以外の活動などを避けられるのもメリットです。
また、勤務時間も決まっているため残業も少なく、プライベートを充実させやすい働き方です。ただし、同じ職場で働けるのは最長3年。契約更新時に時給が上がることはあっても、昇進や昇給、賞与や退職金などはありません。時給制が多いため、働いた時間・日数によって年収が変わり、年収ベースで見ると不安定になりがちではあります。
・正社員より年収が低めでも、自由度がある「契約社員」
給与面では正社員より低くなることもある契約社員ですが、実際には契約社員ならではのメリットもあります。有期雇用である契約社員は、いわゆる「5年ルール」の対象となります。「有期で通算5年雇用し、本人からの申し出があれば、無期雇用に転換しなければならない」という法律があるため、契約社員として実績を積めば、正社員になれる可能性があります。
正社員として採用されるのが難しい会社でも、5年以上雇用されるか、「正社員登用制度」を活用すれば、契約社員からスタートして正社員になることができます。もうひとつ、契約社員のメリットを挙げると、転勤や異動がない会社が多いことです。新入社員の教育や、プロジェクトの管理などを任されることも少ない傾向にあるため、別のやりたい仕事にこだわる人にとっては、契約社員のほうが安心というケースもあるでしょう。
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