コールセンターやコンタクトセンターの仕事を紹介する記事を読んでいると、ときどき「エスカレーション」「エスカレ」という言葉に出会います。耳慣れない言葉なので、戸惑う方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、トランスコスモスのコンタクトセンターにおける事例も交えて、エスカレーションの意味と中身について解説します。
そもそもどういう意味?
エスカレーション(escalation)は英語で、「段階的な拡大、上昇、増加、激化」という意味です。実は、百貨店やビルにある「エスカレーター」のほうが先にできた言葉で、1900年にアメリカの企業が商標として登録した新語でした。
「エスカレート」「エスカレーション」は、元々は「エスカレーターに乗る(こと)」だったのですが、転じて段階的に上がったり増えたりすることを指すようになりました。そこからさらに、「上司などに報告して判断や指示を仰ぐこと」という意味が加わりました。
コールセンターのエスカレーションとは?
さて、ここからが本題です。コールセンターやコンタクトセンターで使われている「エスカレーション」は、お客様からの電話やメールを受けたオペレーターが、適切な回答の仕方を判断できない場合に、先輩スタッフや担当部署などに質問することです。
オフィスでよくある具体的な例で説明しましょう。
■先輩・上司へエスカレーションする(質問)
例えば、ショッピングサイトの問い合わせ対応窓口に、「サイトにログインするとエラーが出る。どうすればいいか」というまだ教わっていない質問の電話があったとします。
オフィスによって、やり方は異なりますが、最も一般的な方法は「保留にして手を挙げる」。その合図で先輩スタッフが対応方法を教えにきてくれます。
■専門部署へエスカレーションする(交代)
エスカレーションをするのは、わからないことがあった時だけではありません。例えば、さきほどのサイトのログインの対応が完了した後、お客様から「住所の変更をしたい」というお話をいただいたとします。
こういった場合は、あらかじめ「個人情報の変更は、専門の部署につないで対応する」と決まっていたりします。より的確な説明ができる専門部署へ対応を引き継ぐことも、エスカレーション。コールセンターやコンタクトセンターでは、よくある業務のひとつです。
どのように回答をもらえるの?
対応の方法が判断できず、エスカレーションした時の回答のもらい方を紹介します。挙手をしたりカードを上げたりすると、先輩や上司がそばに来てくれます。
「サイトにログインしたときのエラーの解消法がわからない」と伝えると、「IDの再登録が必要と伝えてあげてください」などと教えてくれます。お客様への説明が難しくなりそうだったりすると、横で会話を聞きながらフォローしてくれることもあります。
エスカレーションがなくなったら一人前?
エスカレーションについて説明すると、「研修が終わったらやってはダメ?」「わからないことがあるうちは、まだまだということ?」といった質問があったりします。エスカレーションは、いつまでもOK。研修終了後も、対応が慣れてからでも、困ったときは誰でもできます。
コールセンターやコンタクトセンターの目的は、お客様にスムーズに対応して満足していただくこと。先輩や専門部署などに聞くのは恥ずかしいことではありません。お客様に正しい情報をお伝えするため、一人で悩まずにエスカレーションをすることは大切です。
エスカレーションをうまく活用して、「よくわかりました。ありがとう」という言葉をいただけたら、それはいい対応だったということです。近年はテレワークで対応する部署も増え、手挙げではエスカレーションをするシーンも増えました。やり方はオフィスによってさまざまですが、職場に入ったらやり方を確認して、安心してエスカレーションしてください。